自然言語処理分野のトップカンファレンス「ACL 2026」に論文が採択されました
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株式会社Simulacra(本社:東京都、代表取締役:高柳 剛弘)は、弊社研究員 橋本 龍二(東京大学大学院工学系研究科 博士課程)らによる論文「From Heard to Lived Opinions: Simulating Opinion Dynamics with Grounded LLM Agents in Economic Environments」が、自然言語処理分野の国際会議「ACL 2026(The 64th Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics)」に採択 (Findings) されたことをお知らせいたします。
「ACL」は、自然言語処理分野(NLP)で最も権威ある国際会議のひとつです。
論文の概要
「From Heard to Lived Opinions: Simulating Opinion Dynamics with Grounded LLM Agents in Economic Environments」
著者:橋本 龍二(東京大学大学院工学系研究科 博士課程/弊社研究員)・金子 正弘(MBZUAI、NII/LLMC 特任研究員/弊社主任研究員)・高田 亮介(東京大学大学院工学系研究科 特任研究員/弊社研究員)・高柳 剛弘(弊社代表取締役)・和泉 潔(東京大学大学院工学系研究科 教授/弊社技術顧問)
人々の意見がどのように変化し、合意や分極化といった集団的なパターンを生み出すかを扱う「意見ダイナミクス(Opinion Dynamics)」研究において、これまでのLLMエージェントを用いたアプローチは、個人が日々の意思決定を通じて経験する経済的な結果といった「実体験」を十分に組み込んでこなかったという課題がありました。本研究では、LLMエージェントを経済環境に接地(グラウンディング)させ、エージェントが行動し、その環境からのフィードバックを受け取りながら意見を形成していく新たなシミュレーションフレームワークを提案します。
実験の結果、個人レベルでは経済的経験が意見の軌跡を構造的に形作り、不利な経済状況下では意見が硬直化する傾向が観察されました。集団レベルでは、人々の意見が経済状況と連動して変動し、経済的不平等が分極化を増幅させること、また価格の不安定性が大きな分布変化を駆動することが示されました。これらの結果は、LLMエージェントを環境に接地させることが、集団的な意見ダイナミクスを捉える上で重要であることを示しています。
論文のプレプリントは以下よりご覧いただけます。
今後について
Simulacraは、東京大学 和泉研究室発のAIスタートアップとして、人の考え方や行動をAIで再現する「デジタルツインの基盤モデル」の研究開発に取り組んでいます。本研究は、LLMエージェントを通じて社会・経済環境における人々の意見形成を捉える試みであり、当社が目指す「個人の意思決定パターンを再現し、組織や社会のスケールへと拡張することで、あらゆる選択肢を実行前にシミュレーションできる世界」というビジョンに直結する成果です。今後もSimulacraは、デジタルツイン基盤モデルの研究開発と社会実装に向けて取り組んでまいります。